Enzymatic Activity of Protoporphyrinogen-IX Oxidase from Various Plant Species
各種植物から抽出したプロトポルフィリノーゲン-IXオキシダーゼの酵素活性:peroxidizing除草剤に対する感受性
Shizuka ISHIDA, Roswitha MILLER-SULGER, Hitoshi KOHNO, Peter BÖGER, Ko WAKABAYASHI
石田静香,Roswitha MILLER-SULGER,河野均,Peter BÖGER,若林 攻
日本農薬学会誌
25, 18-23 (2000)
有用植物を含む18種の単子葉と16種の双子葉植物合わせて34種の植物からprotoporphyrinogen IX oxidase(Protox)を抽出した.Zea mays cv. Anjou,DK212,Lolium perenneやPoa annuaなどの単子葉植物から抽出したProtoxが,中でも高い酵素活性を示した.また双子葉植物の中ではAgrostemma githagoとArabidopsis thalianaから抽出したProtoxがさらに高い酵素活性を示した.そこでこれら高い酵素活性を有するProtoxの中からZea mays cv. Anjou,Lolium perenne,Agrostemma githagoおよびArabidopsis thalianaから抽出したProtoxを選び,peroxidizing除草剤によるProtox阻害活性試験に使用した.また雑草のノビエに近いEchinochloa utilisから得られた Protoxも併せて使用した.
Protox阻害活性試験には,全く化学構造が異なる6種のperoxidizing除草剤(oxyfluorfen,chlorophthalim,BW-91,pyraflufen-ethyl,DHL-1777,LS-82556)を用いた.その結果いずれの化合物もこれらのProtoxに対して強い阻害活性を示し,中でもpyraflufen-ethylが最も強い活性を示した.これらの化合物のProtox阻害活性はLolium perenneを除く4種の植物から抽出したProtoxに対してpyraflufen-ethyl>oxyfluorfen>BW-91>chlorophthalim>DHL-1777>LS-82556の順に活性が強く,Lolium perenne由来のProtoxに対してはoxyfluorfenが最も強かった.一方DHL-1777はZea mays以外の4種の植物に比べZea mays由来のProtoxに対する活性が低いことから,Zea maysに対して選択性を示す新しいperoxidizing除草剤を分子設計する上で有効なリード化合物と成り得る可能性があると考えられる.これら強い酵素活性を示す4種(Echinochloa utilis,Lolium perenne,Agrostemma githago,Arabidopsis thaliana)のProtoxは,構造が全く異なる6種類のperoxidizing除草剤に対して極めて高い感受性を示すことから,新しいperoxidizing除草剤探索のためのProtox阻害活性試験系に有効に利用できるものである.